山田:クライミングを始められたきっかけは?
大田:父が高校の教師なのですが、山岳部の顧問や山口県国民体育大会の山岳競技の監督をしていて、その影響で始めました。
山田:国体の種目にクライミングがあるというのがすごいですね。オリンピックの正式種目に決まったとき、日本中のクライミングファンや関係者の皆さんは快哉を叫んだのではないですか?
大田:ただ、オリンピックでは競技の内容が変わってしまいました。ボルダリング、リードクライミング、スピードクライミングの3つをまとめてクライミングと称しているのですが、これまでは1種目ごとに実施されていた競技が、オリンピックにするには混合にするしかないということで、3種目全部やって総合で判断するルールに変更されました。これだと1種目に突出するスペシャリストよりもオールラウンダーに有利なルールなので、よく思っていない選手はいるでしょう。
例えばスピードクライミングという競技は15mの壁を男子だと5、6秒くらいで登ります。瞬発力に特化した種目です。これに対してリードクライミングは、時間をかけてできるだけ高いところまで登っていきます。同じスポーツクライミングといってもそれぞれ競うところや求められることが違うわけです。