山田:右代さんは、いつから十種競技を始められたんですか?
右代:中学から始めました。中学生はまだ体力的にも厳しいので四種競技なんですが、そのときすでに、日本だけではなく世界でも活躍していた兄のような選手になりたいと思ったのがきっかけです。高校に入って八種競技、それから十種競技と、兄を追いかけて同じ道を進んできました。
山田:十種競技って、アスリートの中のアスリートにしかできないような種目ばかりで、全ての運動能力に長けていないと頂点に立てないですよね。基礎の部分では、持久力や瞬発力が必要なんでしょうか?
右代:大きく分けて、走る、跳ぶ、投げるの3つの能力を兼ね備える必要があります。投てき種目では、体重の重さや筋力の強さを求められますが、跳躍には体が軽い方がいいですし、筋肉の量と質どちらも大事で、トレーニング方法で苦労しますね。
山田:特に一番大事な筋肉はどこなんでしょう。
右代:どこが一番というより、やっぱりバランスですね。投てき種目があるから体を大きくする、だけど跳躍があるから軽くないといけない、矛盾だらけの競技なんです。その中で、いかにバランスのいい体をつくり上げるかが大事です。
日本の競技者は、それぞれに得意、不得意の種目が必ずあるんですが、世界で戦う選手に苦手な種目はないんです。だからこそ世界で戦える。そこを突き詰めるために、どうやって筋肉の質を高めていくか、体づくりのマネジメントが重要な競技です。